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Allhealの森

乳がんのこと 第1幕~

ライン 花



プロローグ




最初に左胸のしこりにきがついたのは

9月に入ったばかりの頃でした。



実家の母が1ヶ月以上の入院生活を終え、

退院してホッとしていたところで、心配ごとは

ひとまず何もなくなったと気持ちが軽くなっていた

矢先のことでした。



入浴中、いつもはスポンジやタオルを使って体を

洗うのに、その時に限って素手で洗っていました。

よーく泡立てたせっけんのついた手で、つーーっと左胸

をなでた時に、脇の方に「こりっ」とした感触が

あったのです。



「あれーー、これってもしかして・・・」

「まさかね」

口では否定しつつも、わたしの中では

「ガンだわ、これ」

とすでに感じるものがありました。


おふろから上がって夫に

「ねー、ここ触ってみて」と

左胸の外側を触ってもらったら、夫は想像通りにびっくりして

「何これーー、早く病院にいって見てもらってよぉ」

「良性かもしれないし、もうちょっと様子みてみるよ」

「だめ! すぐ行って。一緒に病院行くから」



早速インターネットで検査をしてもらう病院を

探しました。

乳がんの検査は婦人科でも内科でもありません。

外科です。それもできれば専門医のいる乳腺外科が

一番いいです。



すぐ近くのK病院の外科に乳がん学会認定医がいるとわかり、

乳腺外科外来の日を待って夫と一緒に行きました。



ライン 花



初めての診察




最初の触診では、あまりにもコロコロとしこりが

よく動くので、先生も

「良性の可能性が高いけどねー」なんて言ってたけど、

どうも納得がいかない様子。

何かを感じたのでしょうか?

「検査しておこう。一度も乳がんの検査したことないんだよね」

「はい、まだ一度もないんです」

「それならなおさらのことしておいたほうがいい。

何もなければそれはそれでいいわけだし」


そして先生はすぐに検査の日程を組んでくれたのです。



当日はマンモグラフィーがすぐに受けられることになりましたが、

エコーの予約は3週間も先になってしまいました。



マンモグラフィーは思っていたほどには痛くなく、

技師の先生は男性でしたが、事務的に必要以上触れることなく

(当たり前だけど)あっという間に終わりました。


この検査を初めて経験して思ったのは、

慣れた技師がやるのと、そうでない人がやるのとでは、

検査に対しての印象がかなり違うのではないかしら、

ということです。

やっぱり検査とはいえ、素手で胸を触れられるわけだから、

たとえ技師が女性であっても抵抗があることには変りありません。



検査室の前で待っていてくれた夫も

「あれっ、早かったね」と拍子抜けした様子でした。


帰宅してからは2人とも、とりあえず1つ検査が終わったことで

なんとなく充実感もあり、ガンかも?という思いからは

離れていたように思います。


これから衝撃の言葉を聞かされるとも知らずに・・・



ライン 花



エコー




前回の検査から3週間近くたってやっと

エコーの検査の日が来ました。



最初に診察室でマンモグラフィーで撮った

レントゲン写真を見せてもらいましたが、

乳腺が多くて(若い人ほど多いんだそう。わたし若い?)

真っ白で何もみえませんでした。


しこりがあるのは確かなので、この辺だと思うけど・・・・

と先生は説明をしてくれますが、素人のわたしにはどこに

しこりがあるのかまったくわかりません。


「エコーでもっとはっきりわかると思うよ」

「そうですか。早く白黒はっきりさせてすっきりしたいです」

なんて言いながら、超音波の部屋へ向かいました。



エコーの部屋は薄暗くなっていて、ベッドの横には

パソコンのモニターが置かれていました。

首を伸ばせばわたしもモニターを見ることができますが、

見てもよくわからないし、首筋をつってしまいそうなので

やめました。



エコーは始めての経験でしたが、ちょっとくすぐったい

部分もあったけど、痛くも痒くもなく

楽な検査でした。



妊娠したことのある人は、赤ちゃんの様子をエコーでみるので、

経験済みだと思います。





ライン 花



細胞診検査




2日後エコーの結果を聞きに、またK病院に行きました。



先生の顔を見ると、な~んか嫌な予感がします。

エコーの写真をみながら

「ここがしこりです。マンモよりもはっきりと写ってるでしょ。

まだこの写真だけだと確定はできないんだけど、

良性ともいいきれないなー。

完全な球形じゃなくて、血管の方へ向かって成長してる

でしょ。これが怪しいんだよな。

だからといって、じゃぁ悪性ですねともいえないんだ。

あくまでもグレーゾーンとしか今の段階ではいえない。

細胞診やってみようか。

はっきりさせるんだったら、細胞をとってみて検査した方が

いいと思うよ」


「それじゃぁお願いします」


その場ですぐに細胞診の検査はできるというので、

診察室のベッドに横になりました。



これが痛いのなんのって、たまったものじゃぁありません。

注射器のおっきいので、しこりをめざして「ブスッ」と針を

刺しこみ、シュポッシュポッシュポッと5回ほど

ピストンさせて細胞を吸い上げるのだけど、

痛いんですよ。本当に。


あーーやっと終わった、と思ったら

「う~ん、しこりが動いちゃって細胞とれてないなぁ。

もう一度やらせてくれる?」

「はい・・・」


シュポシュポシュポシュポシュポ

「あ~まただめだ。コロコロしてるからとりにくいな。

もう一度。ごめんね」



そしてやっと3回目に細胞はとれましたが、

もう痛みやら何やらでぐったりです。



その日の夜は少しズキズキして、なかなかねむれませんでした。

結果は1週間後・・・・・。

何でもなかったです。ってなればいいんだけどなー。




ライン 花



告知




胸の痛みもすっかり治まり、細胞診の結果の出る日が

やってきました。

そしてこの日は、奇しくもわたしの誕生日でした。

いい結果を自分へのプレゼントとしてもって帰りたい、

思っていたのですが・・・。



診察室に入るなり、開口一番

「○○さん、悪いものでちゃったよ」

「・・・・・」

「細胞診の結果は、レベル5の悪性でした。

でもまだ早期だからね。進行性のものではないし、

焦ることはないからね」

「そうですか。予感はしてましたから大丈夫です。

どんなタイプのものなのか、どんな治療方法があるのか

教えてください」

「今日の今日で大丈夫?落ち着いてから後日ゆっくり

説明した方がよくないかい?」

「大丈夫です。わたしそうじゃないかという感じが

してたので、本読んだり、インターネットでいろいろ調べて

きましたから」



本当はやっぱり驚きましたし、ショックでした。

予感があったとはいえ、やっぱり「良性だったよ」

という先生の言葉を待っていましたから。



ーーーしっかりしなくちゃ 現実を受け止めなくちゃーーー



そんな言葉が頭の中をぐるぐる駆け巡っていました。

自分では冷静になっていたつもりでも、

ショックが尾を引いていたようで、病院を出てから

家までの記憶が今でもあまり残っていません。



夫が帰宅し、すぐに細胞診の結果を報告しました。



「どうだったって?」

「・・・・悪いものでちゃったって」

「どういうこと?」

「悪性だって。ガンだよ」

「今度旦那さんにも説明するから一緒に来てくださいって」



その日はわたしよりも、夫が受けたショックの方が

大きかったようです。



布団に入りそっと夫の横顔をみていると、

「わたしと結婚しなかったら、今頃かわいいこどもに恵まれて

いただろうし、ガンの妻をもって苦労かけちゃうなー」

と申し訳ない気持ちでいっぱいになり、

涙がでてきてとまりませんでした。




ライン 花



セカンドオピニオン




「○○さん、うちで治療をしますか?

それともその前にどこかでセカンドオピニオンとる?」

「いいんですか? もしセカンドオピニオンとったら

そっちの病院がいいってことになって、

変るかもしれないですよ」

「もちろんいいよ。○○さんが元気になってくれることが、

一番大切なことなんだからね。」



なんていい先生~~~。

少し気持ちが弱くなっていたので、

こんな優しい言葉をかけられてまた

涙が出そうになってしまいました。



「うちはセンチネル生検をやっていないから、

やってるところを紹介しようか。

もちろんセンチネルをやるかどうかは、○○さんが

決めればいいから」

「そうですか。・・・・ちょっと考えてみます。

色々な情報を集めて、自分に合った道をみつけたいので」



それから毎日のようにインターネットで

乳がんのHPを読んだり、経験者の方のHPを訪れて勉強したり、

あるいは患者の会に参加して、相談をしに行ったりしました。



そしてそこで運命の出会いがあったのです。



乳がん経験者の大先輩ともいえるKさんに、

これから治療を受ける病院を探していると

相談したら、すぐに「S病院のT先生がいいわよ」

と教えてくれたのです。



わたしが探して候補にしていた病院の中には、

そこは含まれていませんでした。



「この先生 絶対にいいから」



初対面であるにもかかわらず、彼女のこのひと言は

わたしに何の戸惑いも感じさせず、

「この先生に主治医になってもらいたい」と

強く感じたのです。



早速K先生に、S病院でセカンドオピニオンを

受けることを伝え、紹介状を書いてもらいました。





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